Googleの検索結果が年々酷くなっている話

Googleの検索結果が酷いのは今に始まったことではないが、一向に改善しないまま、どんどん酷くなっているように感じている。例えば、中身の薄い同じような企業サイト、いかがでしたかサイト、最近だと検索ワードと無関係なサイトが上位に出てくることもある。

GoogleからするとGoogle検索を使ってほしいわけであり、定期的に検索アルゴリズムのアップデートによるテコ入れをしている。そのたびにサイト運営者やSEOコンサルは悲鳴を上げているわけだが、結局のところ上位表示されるサイトが変わるだけで、コンテンツは変わっておらず、ユーザーからすれば何の変化もない。

一昔前のように、検索結果を不正に操作するブラックハットSEOは通用しなくなっているが、それでも今の検索結果に不満がある人は多い。

最近では検索結果の上部に、AIによる回答が出ることもある。AIは我々の生活を豊かにしてくれることに間違いはないが、現状ではハルシネーションが多すぎであり、信用に値しない。

このままだと、Google検索を利用する人が激減してしまう可能性もあるだろう。

現状の問題点1:企業サイト

現在では、個人サイトより企業サイトがSEOにおいて圧倒的に有利であり、実際に検索結果の上位には企業サイトが多い。例えば、「△△ おすすめ」で検索すると、1ページ目が全て企業サイトなこともある。企業サイトというだけでSEOで評価されているということもあるが、企業サイトは内部対策や外部対策といったSEO対策を、コストをかけて行っているため、個人サイトより上位表示されやすいのだ。

問題点は、企業サイトはコンテンツが薄いことにある。企業サイトは人を雇って運営している関係上、多額の利益を生む必要がある。すると必然的に扱う分野が広くなっていくが、分野が広くなるほど、1つ1つの分野のコンテンツは薄くなる。分野を広げる際に、費やすコストも増やせば良いのだが、際限なくコストを増やし続けるのは現実的ではない。

例えば、ゲーム攻略サイトとして有名なGameWithは、ゲームによって明らかにコンテンツの濃さが違う。あるゲームでは「狂人」とも呼ぶべき生粋のマニアが執筆していることを感じられるが、あるゲームでは的外れな内容であったり、古い情報が残されたままになったりしている。しかしそういった質の低いページでも上位表示されており、エアプウィズなどと呼ばれることもしばしばある。

GameWithの例からも分かるように、サイトや記事は一度制作すれば完成ではなく、新しい記事の制作をしつつ、過去記事を更新して情報を新しくする必要がある。しかし企業サイトは記事数や分野が多すぎて、過去記事まで手が回っていないことが少なくない。実際、SEO/ブログ関連のサイトで、1年前の情報が上位表示されているのを見たときは、皮肉なものだと笑いが出た。

素人考えだが、お金や健康に関わるYMYL領域以外で企業サイトを優遇する意味は薄いと思っている。YMYL領域で個人が発信することの悪影響は、過去のGoogleや今のTwitterを見れば一目瞭然だが、YMYL領域以外で企業サイトを必要以上に持ち上げる意味は何なのだろうか。

現状の問題点2:不毛なSEO対策

先程から何度か出ているSEOというのは、検索エンジン最適化のことであり、自分のサイトを検索結果の上位に載せるための施策のことを指す。

SEOの不毛な点の1つに、例えば「△△のおすすめ◯選」という記事を作るときに、ひたすらに数字が増えていくことが挙げられる。検索ワードにもよるが、50~100選以上の記事も存在し、20~30選程度であれば当たり前のように見かける。5~10選のようにコンテンツが少ないと上位表示できないのだ。ここで考えてほしいのだが、おすすめを大量に提示されたところで、ユーザーからすれば迷うだけであり全く意味がない。さらに、1つ1つが詳細に解説されているわけではなく、詳細なレビュー記事へのリンクもない。つまり、SEOのためだけに作られたコンテンツであり、Googleの本来の目的である、ユーザーファーストな検索結果になっていない。そもそも本当のおすすめが50も100もあるわけない。

ちなみに、おすすめランキングはサイト運営者によって恣意的に操作されているケースも少なくない。そもそもサイト運営者が商品をおすすめするのはアフィリエイトのためであり、ユーザーが商品リンクから実際に商品を購入した際、サイト運営者に紹介料が入る仕組みになっている。紹介料は商品によって違い、高額な商品ほど紹介料も高額な傾向にある。つまり、サイト運営者が紹介料目当てで、高額な商品をページの上部に掲載していることが多い。

このアフィリエイトの仕組みを悪く言うつもりはないし、アフィリエイトのおかげで、検索すれば情報が出てくる今のインターネットがあると言っても過言ではないが、金儲けのためだけの、ユーザーのためにならないSEO対策を見るとやるせない。

このような現状なので、商品やサービスを購入するときは、正直にレビューしてくれるYouTuberを見るようにしている。(YouTuberの中にも金に目が眩み、ユーザーを騙す動画を出す人もいるので注意は必要)

現状の問題点3:コンテンツは二の次

ここまで言ってきたことと重複する部分もあるが、ユーザーにとって最も重要なコンテンツについての問題点がある。誤解を恐れずに言うならば、コンテンツは二の次となっているのだ。

サイトを巡回して順位を決めるクローラーは、コンテンツの正確性や、ユーザーにどれほど役に立つのかを直接は判断できないため、それ以外の様々な指標で順位付けをする。例えば、企業が運営しているサイトかどうか、内部リンクによってユーザーが求める情報にアクセスできるか、外部サイトからの被リンクが多いか。これら、いわゆるSEO対策をしているかどうかが順位付けの判断基準となり、仮に正確性に欠ける情報を掲載しているとしても、SEO対策を徹底しているサイトであれば上位表示できてしまう。実際に検索結果を見ても、コンテンツの質が必ずしも検索順位に反映されているわけではないことに気づく。特に、激戦ジャンルと言われる、SEO競争が激しいジャンル以外でその傾向が強い。

これに関連し、ゲーム好きとして言わせてもらいたいのは、「調査中です」だ。特にゲーム攻略サイトのような、正解が1つしかないタイプのコンテンツで見られる。発売前や発売直後のゲームにおいて、記事の見出しだけを作って公開しておき、肝心の中身に関しては、「調査中です」という文言のみを記載している。これは、新しい検索ワードに対しては、なるべく早く記事を公開したほうがSEO上有利になるという性質を利用したものであり、コンテンツが二の次であるという良い例だ。

他にも、トレンドを扱うサイトで多い、「調べましたがわかりませんでした」とだけ書いてある記事にイライラしたことがないユーザーはいないだろう。

また、コンテンツはいくらでもパクリ可能だ。新規の記事を作る際、狙う検索ワードで表示される上位10位までの内容をパクって執筆する。「独自性を出すために一次情報を盛り込む」とは言うが、本当に使用したかどうかもわからない3行のレビュー文が一次情報だと言われても説得力がないだろう。事実、使用していないサービスをあたかも使用したかのようにレビュー文を執筆する人もいて、ユーザーの役に立つコンテンツとは何かを考えさせられる。

このように、ユーザーにとって最も重要なのはコンテンツであるにも関わらず、SEOでは「コンテンツ以外が評価される」ため、スカスカなコンテンツが検索上位に存在することがある。

関連:広告が邪魔なサイトが増えた

検索結果自体が酷いという話ではないが検索に関連する話として、広告が邪魔なサイトが増えている。邪魔な広告の例としては、全画面広告や、ブラウザバックした際になぜか表示される広告群だ。

これらの広告ははっきりいってユーザビリティを下げている。ユーザーが見たいのはサイトのコンテンツであり、広告ではない。もちろんユーザーや表示される広告によっては、広告がクリックされることもあるが、メインはサイトのコンテンツだ。実際、広告のクリック率は1%程度であり、ほとんどの広告がクリックされないことがわかる。

しかし大手のサイトでも邪魔な広告が掲載されていることが多い。明らかにユーザー体験を損ねる広告掲載の仕方なのだから、罰として検索順位を下げてやれば良いのだが、Googleはおそらくそれをしない。このような広告の一部にはGoogle AdSenseという、Googleを通して配信されている広告が含まれているからだ。つまり、広告が表示されるほどGoogleは嬉しいのだ。

これもユーザーのためにならないサイト運営だと言えるだろう。

サイト運営者の私利私欲が検索結果を酷くする

結局のところ、Googleの検索結果が酷いのは、サイト運営者の私利私欲のせいである。

検索1位と2位とでは、収益に雲泥の差があるため、サイト運営者はあらゆる手段で1位を目指そうとする。その結果、「おすすめ100選」のような、冗長なだけでユーザーの役に立たないコンテンツや、見せかけだけの一次情報がSEOで評価されてしまい、検索結果がゴミと化している。

金を稼ぐのは結構なことだが、そのことしか考えていない人が増えると、悪い方向に進んでしまうものである。