世界樹の迷宮シリーズ、どれから始めるか

世界樹の迷宮シリーズは、アトラスが送るダンジョンRPGであり、可愛らしいイラストとは裏腹に高難易度なゲームであることで知られている。

世界樹の迷宮シリーズ、どれから始めるか

1つだけをおすすめするなら、Ⅲリマスターだ。理由は様々ある。

まず、Ⅰ~Ⅲはリマスター版が出ていて、SwitchかPCでプレイできる。今まではDSや3DSが必須だったが、今では所有していない人も多いだろう。一方でSwitchかPCであれば所有している人が多い。ハードの関係上、リマスター版が出ているⅠ~Ⅲはおすすめしやすい。

その中でもⅢリマスターはパーティ選択の幅が広く、パーティ構築を楽しみやすい。世界樹の迷宮シリーズでは5人パーティを組んで迷宮探索をするのだが、Ⅲリマスターでは初期から10の職業を選択できる。これは世界樹シリーズでは標準的な職業数であり、パーティの自由度が広いと言える。さらに「聞きかじりの経験」というスキルを取得することで、キャラクターを作成さえしておけばパーティに入っていなくても経験値の一部を貰えるため、全職業を育成しやすく、気分や場面によってパーティを変更することも容易だ。他にも「リミットスキル」という、パーティ単位で使用できるスキルの選択など、職業選択以外にもパーティ構成の要素があり、プレイヤーの個性が出る。

世界樹の迷宮シリーズは高難易度なことで有名だが、Ⅲリマスターは標準~易しいくらいの難易度であり、シリーズ初見でも詰んでしまうことは少ないだろう。とはいえ、ⅠやⅡと比べると、戦闘の楽しさは増している。ⅠやⅡの戦闘は非常にシンプルで、敵の痛烈な攻撃に耐えて殴り返すというパターンが多かったが、Ⅲでは敵スキルや行動パターンが複雑化していて、それを読み解くことで倒せるというパターンが多い。また、味方スキルのバリエーションも増えているためできることが多く、戦闘における楽しさがⅠやⅡより大きい。

Ⅲリマスターではメインの迷宮探索の他に、「大航海」という、海に出て航路を開拓していく要素がある。これは世界樹の迷宮シリーズでもⅢだけの要素だ。大航海はパズル的な側面が強く、どの船の装備でどの航路を通れば良いのかを考える。大航海にハマりすぎて、迷宮探索そっちのけで船乗りに「転職」してしまう人がいるほどとなっている。

また地味だが、Ⅲは雑魚敵戦での逃走成功率が高く設定されている。そのため、極悪な組み合わせで雑魚敵が出現した場合でも、容易に逃げることができる。他のナンバリングでは、「逃げるより戦ったほうが早い」「逃げようとするとその間に死ぬ」と言われるほど逃げにくいのだ。当然、常日頃から逃げていると、ボス戦でレベルが足りないという事態に陥るが、どうしても戦いたくない場面で逃げることができるのは、プレイする上でストレス軽減になる。

Ⅲリマスターを一番最初にプレイすることのデメリットは、Ⅲリマスターの後にⅠやⅡをプレイすると、シンプル過ぎるように感じてしまう可能性があることだ。Ⅲはシリーズとして新たな挑戦を試みており、戦闘面やシステム面で様々な要素が追加されている。1つだけをおすすめするならⅢリマスターだが、少なくともリマスター版は全てプレイするつもりなら、Ⅰ→Ⅱ→Ⅲの順番でプレイした方が良いだろう。

世界樹の迷宮シリーズのおすすめ順

ハードや入手性を無視した上で、世界樹の迷宮シリーズのおすすめ順を紹介すると以下の通り。

  1. 世界樹の迷宮Ⅳ
  2. 世界樹の迷宮Ⅲリマスター
  3. 世界樹の迷宮Ⅰリマスター
  4. 世界樹の迷宮Ⅴ
  5. 世界樹の迷宮Ⅱリマスター
  6. 世界樹の迷宮Ⅹ(クロス)
  7. 新世界樹の迷宮Ⅰ
  8. 新世界樹の迷宮Ⅱ

Ⅳはシリーズで最も難易度が低く、シリーズ初見のプレイヤーでも程よく楽しめる。裏ボスの討伐難易度も最も低いため、最後の最後まで折れることなくプレイできるはず。とはいえ、簡単すぎるわけではなく油断すると全滅するし、クリア後に行ける迷宮の凶悪さは健在なので、世界樹の迷宮の難易度を味わう導入としては最も良いナンバリングだ。初期で選べる職業が7つしかなく、パーティ構成で後悔しにくいという特徴もある。Ⅳの欠点は、雑魚敵戦での逃走成功率が非常に低く設定されていることだが、そもそも難易度が易しく、逃げたくなるような状況になりにくいため、そこまで気にならない。

ⅣとⅢとⅠはどれから始めても良い優等生的なナンバリングであり、順位を付けているものの、格差はほぼない。Ⅰは2007年のゲームということもあり、粗削りで不親切な面もあるが、それでもシリーズの導入としては優れている。オリジナル版では特にボスへのリトライ性が悪く、一度負けると手間ひまかけてボスの場所まで行かなければならないというデメリットがあったが、リマスター版では「中断セーブ」が導入されたことにより、その点が改善されていて遊びやすくなっている。(どこでもセーブできる関係上、探索の途中で使うと緊張感が損なわれるというデメリットもあるため、多用はしないほうが良い)

ⅤはⅣまでとは世界観が全く違い、新しい世界樹の迷宮という印象を受ける。実際、出現するモンスターが全て一新されているなど、今までのナンバリングとの繋がりが薄い。そのため積極的にはおすすめしづらいが、5位以下のナンバリングは初見お断り感が強いため、Ⅴを4位としている。

Ⅱは難易度が高い。プレイヤーを苦しめるための仕様が至るところに用意されていて、理不尽さを感じるものもあるため、シリーズ初見プレイヤーは途中で諦めてしまう可能性すらある。シリーズ初見でⅡをプレイするのはあまりおすすめしない。とはいえプレイヤー側の一部職業も非常に強力なため、パーティや取得スキルによってはそこまで高難易度に感じない場合もある。

Ⅹ(クロス)は世界樹の迷宮シリーズの集大成的な立ち位置であり、古参ほど楽しめるナンバリングとなっている。初見で楽しめないわけではないが、シリーズを一通りプレイした後の方が確実に楽しみが大きくなる。選べる職業の数も19であり、シリーズでもダントツで多い。この内18は過去ナンバリングで登場している職業(スキルや仕様が全く同じではないが)なので、職業への理解の面でも、初見より古参のほうが良いだろう。また、シンプルにボリュームが多く、シリーズのことを好きでないと最後まで楽しみきれない可能性がある。

新世界樹の迷宮シリーズはリメイク作品だ。ⅠとⅡしかないが、システムが複雑なだけでなく、敵が非常に強いため、シリーズ初見にはおすすめできない。特に新Ⅱはボスの強さが今までとは一線を画していて、攻略情報を見ずに独力で裏ボスまで倒し切るのは困難を極める。もともと高難易度なⅡをリメイクしているため、新Ⅱが難しいのは当たり前ではあるのだが。また、新世界樹の迷宮シリーズでは「ストーリーモード」が用意されていて、専用のキャラクターが織りなすストーリーを楽しめる。自分でパーティを組む必要がないためシリーズ初見でも安心と思いきや、そもそも難易度が凶悪なので初見だと厳しいというチグハグさを有する。

世界樹の迷宮シリーズを始めるにあたって知っておきたいこと

世界樹の迷宮Ⅴ以降のシリーズとリマスター版では、Expert・Basic・Picnicから難易度選択ができる。Basicが通常の難易度だと思われがちだが、実際はExpertが通常の難易度となる。シリーズの難易度を楽しみたいなら、Expertを選択するように。なお、ⅣではNormal・Casualから難易度選択でき、Normalが通常の難易度となる。

世界樹の迷宮シリーズは、様々な職業の中から自分でパーティを組むのが醍醐味の1つだ。パーティの組み方がわからず不安になる人もいるだろうが、基本的にどんなパーティを組んでもシナリオクリアはできるようになっている。回復職×5人のような極端なパーティを組まない限り、職業が原因でシナリオクリアができないという事態は起きないと思って良い。

世界樹の迷宮シリーズでは、迷宮から脱出する際に「アリアドネの糸」という消耗品を用いる。迷宮内で使用すると、瞬時に迷宮から脱出できるというアイテムだ。アリアドネの糸を持たずに迷宮の奥深くに行ってしまった場合、徒歩で街まで帰らなければならなくなるため、迷宮に入る前に1つは所持していることを必ず確認すべきだ。